第62章 彼女を私にください

桐山霖の瞳が深紅に染まり、駆け寄ってきたボディガードを蹴り飛ばして数メートル先まで吹き飛ばした。拳の一撃で相手を打ち倒し、二人が地面に倒れた瞬間、傍にあった鉄パイプを掴み取ると、二人めがけて容赦なく、全力で何度も叩きつけた。

小林淮人はその狂気じみた様子に肝を冷やし、言葉もままならないまま、トイレの入口へと這って逃げようとする。

桐山霖は床の二人を片付けると、その背中を蹴りつけた。

「桐山霖」

桜井昭子の一声が、彼の一時的な理性を引き戻した。

彼は手を止めると、桜井昭子を抱き上げ、外へと歩き出す。

桜井昭子は彼の今の状況を心配した。「降ろして、怪我してる」

桐山霖の真っ白な襟元が...

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