第66章 彼女に会えないと死ぬ

「篠崎社長、昨夜の場所に忘れ物をしてしまって。お電話をお借りしてもよろしいでしょうか」桜井昭子は篠崎司の顔色を窺い、彼の機嫌を損ねるようなことを言わないように、恐る恐る尋ねた。

ハンドバッグをパーティー会場に置き忘れてしまったため、携帯がない。江口美月に連絡できなければ、彼女が心配するだろう。

幸い、昨夜のうちに江口美月には桐山霖とパーティーに参加すると伝えておいた。

そうでなければ、一晩帰らなかったことで、携帯は江口美月からの着信で鳴りっぱなしだったはずだ。

「何だ?まだ桐山霖と連絡を取ろうとでも?」篠崎司は眉を上げ、冷ややかに彼女を見つめた。

桜井昭子は慌てて首を横に振り、小声で...

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