第67章 あなたとは関係ない

「ええ、丸五年よ」

江口美月の言葉は、紛れもなく鋭い刃となって、桐山霖の心臓に突き刺さり、鮮血を流させた。

彼は苦痛のあまり、身体の震えさえ止められない。幼い頃から、彼は昭子のことを心の頂に置き、触れることすら惜しんできたというのに。

その彼女が、他の男と五年も一緒にいたという。

そう考えただけで、心臓を鷲掴みにされたかのように、びっしりとした痛みが襲いかかり、目の前の景色もぼやけていく。そしてついに、江口美月の目の前で倒れてしまった。

江口美月は驚き、慌てて救急車を呼び、桐山霖を病院へ送った後、どうしようもなく桜井昭子に電話をかけた。

「昭子、やっぱり早く彼の様子を見に来てあげて...

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