第71章 痛み極まる

桜井昭子は呆然とし、その眼差しは瞬く間に色を失った。今の自分はこんな有様だ。心から自分を想ってくれる遠山圭吾に、どうして釣り合うというのだろう。

彼女は俯いて感情を隠し、唇の端に苦い笑みを浮かべた。「もう、汚れてしまったから。あなたも見たでしょう……」

その体には篠崎司がつけたキスマークが至る所に散らばっている。こんな姿で、どうして遠山圭吾の隣に立てるというのか。

桐山霖は痛みに息を呑み、その瞳の奥は悲哀に満ちていた。彼は震える手を伸ばし、この上なく敬虔に彼女の手のひらに口づけた。

「大丈夫だよ。拭けば綺麗になるから、大丈夫……」

彼は目を赤くしながら彼女を見つめ、そっとその体を抱き...

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