第106章

『ごめんなさい……』

慌てて謝ろうとした、その声が形になる前に――男の細やかで熱い口づけが、有無を言わさず降ってきた。

鈴崎潤は彼女の腕をそっと壁に押し当てる。さっき宝生知優に煽られた火を、そのままぶつけるみたいに。

奪い、攻め落とすためのキス。

唇の隙間を易々とこじ開け、舌が入り込み、絡め取って、逃げ道を与えない。

宝生知優は全身がびくりと強張った。瞳に浮かぶのは、驚愕。

けれど、その驚きはすぐに、もっと大きな欲に呑まれていく。

湯気越しに届く、鈴崎潤の澄んだウッディな香り。

それが彼女を包み込み、骨が抜けるみたいに力が入らなくなる。

彼のキスには、堕ちていけと囁く魔力が...

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