第113章

相手のアイコンは真っ白、表示名は文字化けみたいな羅列だった。

そのアカウントから届いたメッセージを開くと、画像が一枚だけ。

そこに写っていたのは、濃い色の車のシートの上で、絡めるように握られた二つの手だった。

男の指は長く、清潔で、骨ばっていて。手首の骨がほのかに浮いている。

宝生知優は一目でわかった。これは鈴崎潤の手だ。

そして、その手の甲に重ねられているのは、細くて白い女の手。

――自分のじゃない。

野原リリは、宝生知優の機嫌が落ちたのを察したのか、写真に視線を留めたまま動かない彼女を見て、探るように尋ねた。

『鈴崎潤と、誰かの写真?』

宝生知優は頷くと、画面をそのまま...

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