第136章

横になって間もなく、隣のマットレスがふっと沈んだ。鈴崎潤も身支度を終えたらしく、掛け布団をめくってそのままベッドに滑り込んでくる。

実は宝生知優は少し寝床が変わると眠れないうえ、暗いのも苦手だ。ホテルに泊まりたがらない理由のひとつでもある。

けれど鈴崎潤が横になった途端、鼻腔いっぱいに彼特有の冷たい木の香りが満ちた。

不思議と心のざわめきを撫でる匂いで、それを吸い込んでいるうちに、知優の瞼はゆっくり重くなっていく。

――気づけば、昼まで眠っていた。

鈴崎潤はすでに起きていて、リビングでノートパソコンに向かい仕事を片づけていた。知優が出てくるのを見ると、彼はぱたんと画面を閉じ、ホテル...

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