第138章

どうせ自分の金じゃない。彼女は別に痛くも痒くもなかった。

鈴崎潤にそう言われたせいか、宝生知優も少し興味が湧いたらしい。視線がすっと真剣になる。

いくつもの出品が続き、会場には競りの声が途切れなく響いた。

どれも悪くない。けれど、宝生知優の購買欲をくすぐるほどではない。

――そのとき。

ゆったりと、しかしリズムのある旋律が流れた。

白い手袋をはめた係の女性が、厳かな面持ちで黒いギフトボックスを胸に抱え、ゆっくりとステージ中央へ進む。慎重にトレーへ置かれたそれは、扱いだけで中身の格が知れる。

司会者がひとつ息を吸い込み、熱のこもった声で告げた。

『こちらはオーストラリア産、アー...

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