第16章

戸惑っていた宝生知優の意識を、唐突な咳き込みが引き戻した。

鈴崎潤が急に胸元を押さえ、紙みたいに真っ白になる。

次の瞬間、体内をえぐるような激痛が荒れ狂ったのだろう。喉の奥から押し殺した呻きが漏れた。

その音に、隣で眠っていた宝生知優が胸を締めつけられる。発作――そう悟って、ぱちりと目を開けた。

「大丈夫?」

「……薬」

鈴崎潤は歯を食いしばり、額に冷や汗をうっすら浮かべたまま、苦しげに息を吐いた。

宝生知優は靴を履く暇もなく、裸足でベッドを降りると、枕元のサイドテーブルを引き出して手当たり次第に探った。

鈴崎潤は複雑そうに彼女を一瞥し、下唇をぎゅっと噛む。限界が近いのか、口...

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