第20章

「お母さんは……もう、いないの」

祖母はこめかみを揉み、ひどくつらそうに目を細めた。頭の中で、小さな誰かが太鼓を打ち鳴らしているみたいだった。

次の瞬間、ぽんと自分の頭を叩き、苦い笑みをこぼす。

「嫌になっちゃうね、この頭。こんな大事なことを、また忘れるなんて」

宝生知優は、何も言えなかった。

しんとした空気に、じわりと哀しみが滲んでいく。

「どんなに険しい道でもね……あの子が自分で選んだ道だったんだよ」

祖母は、聞き取れるかどうかというほど小さく息をついた。

宝生知優は拳をきつく握りしめる。瞳の奥に、ふっと憎しみの火が灯った。

「宝生隆教には、いつか必ず報いが来る。あの頃...

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