第21章

宝生知優は俯いたまま、祖母の掌に刻まれた細かな皺を見つめていた。指先が震え、体の奥まで揺れるように小刻みに震える。

次の瞬間、彼女の掌に硬いカードが押し込まれる。祖母の手の温もりが、まだ残っていた。

「知優。これ、ばあちゃんの貯金、ぜんぶ。持っていきな。暗証番号は、あんたの誕生日だよ」

「ばあちゃん、物覚えが悪くてねえ。お金をどこに置いたか、すぐ分かんなくなっちゃうんだ。今日はやっと見つかったの。多くはないけど、ばあちゃんの気持ちだよ」

宝生知優に言い聞かせたあと、祖母は鈴崎潤へも視線を向ける。

「潤君。ばあちゃんと約束して。知優のこと、ちゃんと守ってあげてくれるかい?」

鈴崎潤...

ログインして続きを読む