第40章

宝生知優はまだぶつぶつ言っていた。

「ほんと、あの女……面の皮が壁より厚いんだけど」

鈴崎潤は彼女を一瞥して、冷めた目でやり過ごす。

知優はぺたりとした自分の小腹を撫でた。中は空っぽ。本来なら食事の時間なのに、さっきまであの二人と対峙して無駄にしてしまった。

「お腹すいたぁ」

鏡に向かい、髪を指で梳きながらぼやく。

「腹が減ったなら飯を食え」

鈴崎潤は長い脚でくるりと向きを変え、ダイニングのほうへ歩き出した。

「待って、潤くん! 置いてかないでよ!」

宝生知優が背中に向かって叫び、小走りで追いかける。

その声を聞いて、鈴崎潤は思わず口元だけをわずかにゆるめた。

宝生知優...

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