第42章

もう、こんなふうに人を陥れようとする相手と話す気にはなれなかった。宝生知優は意識して距離を取り、今度こそまた妙な写真でも出回ったらたまらないと、露骨なくらい警戒する。

その目の奥にある警戒と敵意を見て取ったのか、井ノ原珠子は笑みを含んだ眼差しのまま、会場へ向かう車の窓から見えた一場面を思い返していた。

「宝生さんって、鈴崎様のことを本当にお慕いしてるのね。でも――鈴崎様も同じくらい、あなたを愛していらっしゃるのかしら」

「彼が私を愛してるかどうかなんて、部外者の口から教えてもらう必要はないわ」

「井ノ原様、少し用がありますので失礼します。ごゆっくりどうぞ」

宝生知優は苛立ちを隠さず...

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