第62章
宝生知優は結局、鈴崎母に押しつけられた焼け火箸みたいにごつい紙袋を二つ、そのままクローゼットへ一気に突っ込んだ。
扉の向こうにぎっしり並ぶのは、布地が申し訳程度の各種ランジェリー。
知優は額に手をやり、やれやれとため息を落とす。
――これ、ほんとに着るの?
脳裏に勝手に、これを身に着けて鈴崎潤の前で媚びる自分の姿が浮かんで、思わず顔をしかめた。見ていられない。
同じベッドで寝ても、平然としていられる男だ。
こんな服を着たくらいで、色仕掛けが通じるわけがない。
鈴崎母は息子を甘く見すぎている。
「……っ」
バタン、とクローゼットを閉め、知優は苛立たしげに長い髪をかき回す。部屋...
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