第65章

「まさか、権限を使って案件を横取りするなんて……!」

林原裕樹は目を血走らせ、怒りで声を震わせた。

『鈴崎潤、お前、それはルール違反だろ!』

その場が一気にどよめく。

誰だってわかっている。

鈴崎潤ほどの立場と力があれば、林原裕樹ひとり潰すくらい、蟻を指で摘み潰すよりたやすい。

だが、だからこそ。上に立つ人間ほど、そう簡単には手を出さないものだ。

後ろ指をさされるのを嫌うからだ。

市場に出回る利益には限りがある。

飯の種を奪うのは、相手の人生を断つのと大差ない。

まして、格上が格下を力でねじ伏せるなど、褒められた話ではなかった。

宝生ミクルもまた、驚きを隠せなかった。

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