第71章

向こうから電話してくるなんて、まだそんな度胸が残っていたのか。

宝生知優は大きく息を吸い込み、通話を繋いだ。相手に口を開かせる隙すら与えず、いきなり怒鳴りつける。

『林原裕樹! このクソ野郎! 私の案件を横取りして、恥ってもんがないの?』

受話器の向こうが一瞬、しんと静まる。次いで、ねっとりした低い笑い声が漏れた。

『そんなに怒る? これってさ、以心伝心ってやつ? 俺が言う前に、もう俺だってわかってるじゃん。俺が奪ったって』

『以心伝心? 寝言は寝て言え!』

宝生知優はスマホを握りしめる指に力を込める。関節が白くなるほどに。

『私の周りでいちばん下品でいちばん卑怯なの、あんたな...

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