第78章

しばらくして、バーの妖しい照明がゆらゆらと流れ、二人の女はふかふかのボックス席に身を沈めて、周囲の喧噪から切り離された小さな島みたいになっていた。

宝生知優はウイスキーのグラスを持ち上げる。琥珀色の液体が光を受けて揺れた。

彼女はそのまま喉へ流し込み、氷がカラン、と小気味よくグラスの内側を叩く。続いて、胸の底から息を吐いた。

『双葉知世って、ほんっとに筋金入りのぶりっ子だよ』

野原リリは知優の話を聞き終えるなり、腹立たしげにテーブルを叩いた。

『鈴崎潤の目がここまで節穴だなんて、思わなかった』

『男ってさ、ああいうの好きなの? いかにも儚げで、従順そうで、いい子ぶってる感じ』

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