第81章

「いいわ」双葉知世が間髪入れずに受け、宝生知優の腕へぐいっと絡みついた。逃げられないほどの力で。顔には作り笑いを貼りつけたまま、『ちょうどいい。知優と一緒に帰れば、道連れ……じゃなくて、心強いでしょ』

宝生知優はすぐに見抜いた。要するに、彼女を鈴崎潤と二人きりにさせたくないのだ。

知優は口元に、わかったような笑みを浮かべると、腕をするりと引き抜いた。『遠慮する。私はここに残って、潤君の世話をする。まだ本調子じゃないし、そばに人がいないと困るでしょ』

双葉知世の口角がひくりと引きつる。腹の底は煮えくり返っているはずなのに、表情は硬い笑顔のまま崩せない。

『ここは付き添いの人がいるから十...

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