第93章

「大丈夫……少し休めば平気」

そう口にしながらも、声はふわりと力が抜けていた。

鈴崎潤はすぐに眉間に皺を寄せ、目の色を沈める。

「声も出てないくせに、どこが大丈夫だ」

――この女、何をそんなに意地張ってる。

「村にお医者さんがいるの」

宝生知優はやっとのことで腕を上げ、遠くを指さした。

「あなたが背負って、薬だけもらいに行けば……それで……」

「駄目だ」

鈴崎潤は足を止め、横顔の線をきつく張り詰めさせた。

あんな薬じゃ、こいつの症状はどうにもならない。

言い方は硬く、譲る余地は一切ない。

宝生知優は赤い唇をきゅっと結び、言い返そうとした。だが、男の冷えた声が先に落ちて...

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