第8章

絵里視点

病院の無機質な蛍光灯は、あらゆる感情を剥ぎ取り、すべてを冷たい事件現場のように白く照らし出していた。まあ、ここは私の人生が一度死んだ場所なのだから、あながち間違いでもない。

西村先生が聴診器を私の胸の上で滑らせている間、私は天井のタイルをじっと見つめていた。百合子は隅の椅子に座り、幸太は檻の中の動物のように窓際を行ったり来たりしている。

「複数の軟部組織挫傷、重度の栄養失調ですね」西村先生は、事務的な口調が言葉の重みを和らげるとでも思っているのか、百合子に向かって呟いた。「経過観察が必要です――少なくとも四十八時間は」

(そんなこと、言われなくても分かってる)

喉は...

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