第154章

気分が晴れると、世界そのものが軽やかになったように感じる。ズボンのポケットに手を突っ込み、大通りを歩く。頭は冴え渡り、会社へ戻る道もすぐに見つかった。慣れ親しんだ街並みを眺め、夜の静寂に身を委ねると、私の心もまた静まっていった。ああ、あの占い師の言う通りだ。父はいずれ逝く。海子は遅かれ早かれ、私一人のものになるのだ。老い先短い人間と今の得失を争って、何の意味がある? それに今回の件を経て、二人の曖昧な関係も断たれるかもしれない。何しろ、この一件で家族三人が皆、少なからず消耗したのだから。

事務所に戻り、ポケットから手を出そうとすると、一枚の紙切れがついてきた。……おかしいな。スマホしか入れ...

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