第184章

 幼稚園にトトを迎えに行くと、小さな体を弾ませながら駆け寄ってきたトトは、ぼくの顔を見るなりぱあっと目を輝かせ、そのままコアラみたいに首に飛びついてきた。両脚までしっかり絡めて、いつまでたっても降りようとしない。結局、家に着くまでずっと、トトをぶら下げたまま帰ることになった。

 玄関先でその姿を見た海子は、ふっと幸せそうに微笑んだ。ただ、その笑みの端には、どうしても消えないかすかな苦みが滲んでいた。

 トトを迎えたあと、ぼくと海子はトトを連れて近所の食堂に寄り、家族の好物を何品か頼んだ。それから車で病院へ向かう。

 この五年で、ぼくは自分の車を手に入れた。これで一応、家も車もある男にな...

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