第204章 IFストーリー

 海子が、いったいどれくらいのあいだ私のそばで囁き続けていたのかは分からない。たぶん、このところずっと魂だけの状態で生きてきて、ろくに休んでいなかったせいだろう、どうしても眠気を抑えきれなかった。私はベッドの上で、するりと意識を手放した。

 次に目を覚ましたときには、もう翌朝だった。瞼を開けると、窓の外から差し込む朝の光が視界に広がる。首を横に向けると、ベッドの脇で眠り込んでいる海子の姿があった。この数日、きっと彼女も限界まで疲れているのだろう。ベッドに突っ伏すように上体を預け、私の手をぎゅっと握りしめたまま、静かに寝息を立てている。

 今の彼女は、ただ静かに眠る女だった。たぶん、夢の中...

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