第206章 IFストーリー

 海子はもう力が抜けたみたいに床にへたり込んで、ぽろぽろと泣いていた。けれど当の僕はというと、どちらの寝室も使いたくなくて、どうしたらいいのか決めかねていた。いっそ外のビジネスホテルにでも泊まりに行くのか。泣きじゃくる海子の姿が視界に入って、思わず顔をそむける。僕は昔から、海子が泣くところを直視できない。

 今の海子の胸の内は、相当痛んでいるのだろう。だけど――僕の痛みと比べて、どっちが重いんだろう。進むことも退くこともできず、どうにもならなくて、結局僕はソファにもう一度腰を下ろした。

「……わたし、泣いてる顔、すごくみっともないでしょ?」

 ひとしきり泣いたあと、海子は無理やり涙をお...

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