第267章 IFストーリー

 部屋の明かりがぱっと灯ると、海子はいつものように玄関まで来てくれて、スリッパを出してくれた。ついでに、私の手からブリーフケースを受け取る。靴を履き替えた私は、そのまま寝室へ向かい、着替えを済ませることにした。

 そのあいだじゅう、私は気付かれないように、すんっと鼻を利かせていた。部屋の中に、セックスの残り香がないかどうかを確かめるためだ。もし父さんと海子が関係を持ったのなら、この家のどこかには精液の匂いが残っているはずだ。男の精液の匂いは強烈だ。独特の生臭さがはっきりしていて、いつまでも消えない。だが――どれだけ嗅いでみても、怪しい匂いは、ひとつも見つからなかった。

 着替えを終えて寝...

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