第269章 IFストーリー

 家の監視カメラの電源を落とした途端、胸の奥がふっと軽くなった。海子の今日の様子は、正直かなり満足のいくものだった。

 本当のところ、映像を確認する前はひどく緊張していた。海子と父があんなことをしてしまってからというもの、ふたりを信じきる自信なんて、とてもじゃないが持てなかったからだ。普通の人間の心理からすれば――どうせ見られていない、バレさえしなければ、跡さえ残さなければ――そう考えてもおかしくはないだろう。

 結局これは、人間としての誠実さの問題だ。海子にとっても、そして私にとっても、これは約束であり、夫婦のあいだの信頼そのものだった。

 ほっとしたのも束の間、胸のどこかに、薄い罪...

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