第270章 IFストーリー

 目を覚ましたときの海子の胸の内では、きっと激しい葛藤が渦を巻いていたはずだ。父とふたりきりで過ごす一瞬一瞬、そのたびに襲ってくる性欲に、彼女はずっと身を焼かれていた。もし朝のコップの件さえなければ、海子は何のためらいもなく父に身を寄せ、前回と同じように夜になれば自分から父の部屋へ行って、腕の中へ飛び込んでいっただろう。

 けれど今の彼女には、守ると決めた約束がある。別の誰かなら、どうせ夫には見えないのだからと、こっそり続けてしまうのかもしれない。跡さえ残さず、証拠さえ隠してしまえばいい。海子がこんなにも揺れている理由も、おそらくはそこにある。

 信用の置けない人間なら、迷わず「嘘」と「...

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