第290章 IFストーリー

 海子がゆっくりと身を翻したとき、私はその頬がうっすらと赤く染まっているのに気づいた。ちらりとこちらを見てから、何かを振り切るように、ためらいがちに足を動かしてベッドに上がる。その腰の運びに、ほんのわずかな「行きたくない」という気配が混じっているように見えたのは、気のせいではないはずだ。

 ベッドに上がった海子は、仰向けにごろんと横になった。目はぎゅっと閉じられているのに、呼吸だけが妙に不規則だ。高ぶっているのか、それとも緊張なのか、私には判断がつかない。

 今の海子は、きっと心の中でぐるぐる考え込んでいる。隣の部屋に行きたい、でもどう切り出せばいいのかわからない。――だから、私が言い出...

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