第294章 IFストーリー

 わたしは時間を昨日の夜へと巻き戻し、海子が父の部屋のドアを開ける場面から再生し始めた。

 その少し前――わたしが帰宅してからの父は、明らかに落ち着きなく、部屋の中でそわそわと落ち着かない様子だった。どこか怯えたような緊張が全身から伝わってくる。視線は何度もドアの方へと泳ぎ、部屋の気圧の変化か何かでドアがきしむたびに、びくりと肩を震わせて入口を見やる。その目には、期待と恐怖が入り混じっていた。

 きっと、ドアが鳴るたびに誰かが入ってくると思ったのだろう。けれど、その「誰か」が海子なのか、わたしなのか――それが問題だった。もし海子なら、父は昂ぶりと期待で胸を膨らませる。だが、入ってくるのが...

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