第315章 IFストーリー

 部屋のドアが開いた。

 落ち着いて室内を見やる。ドアが開いた瞬間、中からは物音ひとつ聞こえてこなかった。

 そして、開いたドアの先に広がっていたのは、見慣れた光景だった。

 海子が顎に手を当ててダイニングテーブルに座り、そのテーブルの上には色とりどりの料理がずらりと並んでいる。

 私の姿を見つけた海子はぱっと笑顔になり、すっと玄関まで来ると、靴を差し出し、ブリーフケースを受け取ってくれる。

 ——何もかも、以前と同じ。変わったところなんて、どこにもないように見えた。

 だからこそ、妙だった。

 あまりにも普通で、あまりにも変化がないことが、逆に胸の中に引っかかる。

 ぼんや...

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