第319章 IFストーリー

時間だけが、じりじりと過ぎていった。

……およそ二分ほどたった頃だろうか。

父が、ぎゅっと目を閉じて大きく息を吸い込んだ。肩がゆっくり上下する。さらに三十秒ほどして、ようやく父は瞼を開いた。

にごっていた眼差しに、かすかに理性の色が戻る。一瞬だけ、迷いの影がよぎった。

それから父は、脇にあった枕を手探りで掴み、そのまま自分の腰の前に立てて隠した。俯いて、海子の裸身を見ないようにする。そして、またそっと目を閉じる。

何も言葉は発しなかった。

けれどその仕草は、はっきりとした拒絶の意志を示していた。

海子は、そんな父の様子を見ても、表情をほとんど変えなかった。ただ、ゆっくりと両手を...

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