第334章 IFストーリー

時間は、私が飛行機に乗った日の朝へと巻き戻る。

離陸の時刻だけは鮮明に覚えている。あの時間、監視カメラに映る家の中はがらんとしていて、海子はまだ、私を空港まで送って行ったきり帰ってきていなかった。

私はビデオの再生バーを少しずつ進め、早送りを繰り返した。

およそ三十分ほど経ったところで、ようやく海子の姿が玄関に現れる。表情はひどく沈んでいて、今にも泣き出しそうな顔で靴を脱いでいる。どう見ても、私と別れたことを惜しんでいる様子だった。

家に入った彼女は、部屋着に着替えると台所へ向かった。だが、調理器具を手に取ったところでふいに動きを止め、しばらく逡巡したあと、ふうっと寂しげにため息を吐...

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