第344章 IFストーリー

 ドアが閉まる音がしてから、耳を澄まして気配の変化を探った。けれど、バスルームから聞こえていた水音は一向に止まらない。中から海子の驚いた声も、何ひとつ伝わってこなかった。

 考えられるのは二つだ。

 ひとつは、父がそのままバスルームに入っていった場合。だが、海子は父が来ることをあらかじめ予感していたかのように、驚きの声すら上げないでいる。今ごろ二人で、前戯でもしているのかもしれない。

 もうひとつは、父はバスルームには入らず、そのまま自室へ引き返した場合。さっき聞こえたドアの音は、父の寝ている部屋のものだった――その可能性。

 どちらなんだろう。父は自分の寝室へ戻ったのか。もし私の予...

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