第352章 IFストーリー

父は深く息を吸い込むと、名残惜しそうにトイレのドアを何度か振り返り、それから力なくため息をついた。

ゆっくりと私たち夫婦の寝室へ向かう。ドアは半分ほど開いていて、父はその隙間から中をそっと覗き込んだ。ベッドの上でぐっすり眠っている私の姿を確認すると、少しだけ覚悟を決めたようにドアを押し開け、おそるおそる部屋の中へ入ってくる。

ベッドに近づき、まだ熟睡している私を見て、父はほっと胸を撫で下ろした。そして赤く火照った顔と、全身から立ち上る酒の匂いに視線を留める。

監視カメラの映像越しに、そのときの静かな自分を見ている私は、穏やかと言うしかない表情をしていた。こんなふうに何もかも忘れて安らい...

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