第88章

あれは朝起きたばかりの時だった。私と海子が身支度を済ませて朝食を食べに出かけ、その後の旅程を続ける準備をしていた。ちょうど出かけようとした時、ベッドに置いていた携帯電話が鳴り響いた。手に取って確認すると、故郷のH市からの見知らぬ番号だった。疑問に思いながらも、私は電話に出た。

「木村江さんでいらっしゃいますか」電話に出るとすぐ、見知らぬ男性の焦った声が聞こえてきた。

「はい、そうですが、どちら様でしょうか」

「寰亜風力発電会社の者です。お父様は弊社で働いていらっしゃいますでしょうか。N-013島で警備員をされている」

区別しやすくするため、地質機関は各中州の島に番号を付けていた。N-...

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