第10章

病院のロビー。ガラス張りの天井から降り注ぐ陽光が、ぽかぽかと暖かかった。

知意は負傷した脚を引きずり、ふらつく足取りでバス停へ向かった。

バスに乗り込み、窓ガラスに寄りかかる。脚の痛みが波のように押し寄せ、思わず眉をひそめた。

手持ちの古い布鞄に手を差し込むと、指先が年季の入った革の財布に触れた。

少し躊躇った後、それを取り出し、そっと開く。

色褪せた写真の中では、満面の笑みを浮かべた二人の子どもが寄り添っていた。

知意の視線は、その小さな男の子の顔に長く留まった。

兄ちゃん……

見えない手に心臓をきゅっと掴まれたような、言葉にならない切なさが込み上げる。

もしあの時、迷子...

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