第111章

皓を見送った後、蓮は石畳の道を戻っていった。

白い家のドアを押し開けると、リビングに人影はない。半開きのプレイルームのドアから、光の楽しげな声が漏れ聞こえてくる。

「お姉ちゃん、ケーキ作れる? 光、ケーキ食べたいな!」

「作れるよ」

知意の声は、子猫をあやすように甘く優しい。

「光に作ってあげるね」

「じゃあお手伝いする! お姉ちゃんが言うこと、なんでもやる!」

蓮は声のする方へ歩み寄り、キッチンの入り口に立ち止まった。中には入らない。

キッチンでは、知意が小花柄のエプロンを身につけていた。長い髪は後ろで無造作に束ねられ、白いうなじが覗いている。

彼女は身をかがめ、冷蔵庫か...

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