第12章

白石家は旧市街の古いマンションにある。ドアを開けると、昔ながらの温かな生活の匂いがふわりと漂ってきた。

こぢんまりとしているが、綺麗に片付いたリビング。白石由美子が湯気を立てるスープの椀を台所から運んでくるところだった。知意たちの姿を見て、その足がぴたりと止まる。

視線が、包帯の巻かれた知意の脚に落ちる。由美子は微かに唇を震わせたが、結局は温かな声で言った。

「おかえり。ちょうどよかった、スープができたところなの。温かいうちに飲みなさい」

問い詰めることも、驚きを口にすることもない。

だが、その努めて平静を装う態度が、かえって知意の鼻の奥をツンとさせた。

「お母さん」

知意はか...

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