第128章

知意はその言葉に背筋を伸ばし、耳元にかかる後れ毛を指先で払った。

「絶対に離婚する。財産なんて一円も要らないし、神谷家のものなんて何一つ持っていきたくない」

言葉を切り、深く息を吸い込む。

「今の私には何の望みもない。ただ、離婚したいだけ」

航は彼女を見つめた。その瞳の奥に宿る、決して揺らぐことのない決意を前に、喉元まで出かかっていた引き留めの言葉を呑み込む。

そして、静かに頷いた。

「知意がどんな道を選んでも、俺は味方だから」

二人が病室に戻ると、ベッドのヘッドボードに身を預ける遠の傍らで、初音がりんごの皮を剥いていた。

看護師はすでに点滴を終え、トレイを片づけているところ...

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