第14章

若菜はさらにしばらく罵り続けたが、やがて疲れ果てたのか、バッグを腕に掛け、ダイニングの入り口へ向かった。そして蓮に「家で用事があるから、先に帰るわ」とだけ告げ、屋敷を後にした。

屋敷は再び死んだような静けさを取り戻し、先ほどの騒ぎなどまるでなかったかのようだ。

知意は鼻をすすり、一歩、また一歩と階段の方へ歩き出した。

重い扉を開け、屋敷を出て数歩も歩かないうちに、背後で車のエンジン音が響いた。

黒のロールスロイスが車庫からゆっくりと滑り出し、土煙を上げて走り去っていく。

蓮だ。

知意はその場に立ち尽くし、車が道の彼方へ消えていくのを無表情で見送った。

そっと手を伸ばし、額にこび...

ログインして続きを読む