第150章

言い終えると、彼女は深く息を吸い込んだ。再び顔を上げたとき、その瞳から動揺は完全に消え去っていた。

絶望的な状況であればあるほど、自分が崩れるわけにはいかない。

弟が待っている。家族が待っている。自分が取り乱せば、すべてが共倒れになってしまう。

瞬く間に冷静さを取り戻した彼女を見て、殊の瞳に微かな称賛の色がよぎった。

重圧の中でもこれほど早く決断を下せる精神力は、実に得難いものだ。

「先輩、遠の会社まで付き合ってくれませんか」

彼女は机の上の資料を掴み取った。

「今すぐ直接証拠を整理するのが、突破口を見つける一番の近道ですから」

「ああ、付き合おう」

殊は一切の躊躇なくジャ...

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