第16章

バスに揺られながら、知意はやはり一度白石家へ戻ることにした。

何も言わずに家を出るわけにはいかない。両親に一言告げて、当面の必要な荷物をまとめる必要があった。

心配と名残惜しさが入り交じる両親の視線を背に受けながら、知意は手荷物だけを提げ、再びその小さな家を後にした。

周藤教授から教えられた住所を頼りに、都心の閑静な住宅街にあるマンションへとたどり着く。

低層の建物で、周囲の環境も静かだ。

鍵を開けて中に入ると、教授の言葉通り、決して広くはないが清潔感に溢れていた。1LDKの間取りで、生活に必要な家具や家電はひと通り揃っている。

知意は荷物を下ろし、これから自分の新たな出発点とな...

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