第160章

夜が更けていく。窓を叩く雨音はいつの間にか止み、軒先から滴り落ちる微かな水音だけが響いていた。

光は知意の胸に寄りかかり、小さな手で彼女の服の裾をぎゅっと握りしめている。規則正しい寝息を立てており、とうに夢の中へ落ちていた。

知意はそっと布団を掛け直す。子どもを起こさないよう、その動作はひたすら慎重だった。

身を起こし、表情を引き締める。瞳に浮かんでいた温もりは消え去り、いつもの冷ややかな距離感が戻ってきた。

ここはあくまで蓮の別荘だ。長居するべき場所ではない。

これ以上留まるわけにはいかないし、蓮とこれ以上関わり合いになるのもご免だった。

知意は立ち上がり、足音を殺して部屋を出...

ログインして続きを読む