第163章

知意は光の手を引いてエレベーターに乗り込み、自室のある階のボタンを押した。

ゆっくりと閉まる扉の最後の隙間から、清隆がまだその場に立ち尽くし、得体の知れない視線をこちらに向けているのが見えた。

深くは考えなかった。扉が完全に閉まった瞬間、その顔は外の世界へと遮断された。

清隆は廊下に立ち、エレベーターの表示板で階数を示す数字が一つ一つ切り替わっていくのを、底知れぬ目で見つめていた。

手元の写真に目を落とす。無意識に指先で妹の顔をなぞると、瞳の奥に少しずつ優しい色が滲んできた。

視線を上げ、踵を返して廊下の反対側へ歩き出す。ある扉の前で立ち止まり、二度ノックした。

扉が開き、蓮が姿...

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