第164章

エレベーターが一階に到着し、扉が開く。彼女は降りてロビーを抜け、あるオフィスビルの前に着くと、ガラス扉を押し開けた。

会議室に足を踏み入れた瞬間、向かいの席に座る人物が目に入った。知意は一目でその男を認識した。

毛内海。蓮の補佐だ。長年彼に仕え、平社員から社長特任補佐にまで登り詰めた、立ち回りの巧みな男である。

毛内海を見て、知意の眼差しが少し沈んだ。

はるばるここまで足を運んだというのに、相手の背後にいるのはやはり蓮だったのだ。

知意は唇を噛み締め、思わず挫折感を募らせた。

どうしても、あの男の手のひらから逃れられないというのだろうか。

彼女は深呼吸をし、胸の奥で渦巻く感情を...

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