第165章

彼女はホテルに向かって歩き出した。足早に進むたび、ハイヒールが石畳を叩き、カンカンと甲高く急な音を響かせる。

ホテルに戻ると、ロビーを抜け、エレベーターに乗り込んで階数ボタンを押した。

扉が開き、外へ出る。廊下の角を曲がろうとしたとき、視界の端に人影が映った。

顔を向けると、蓮が廊下の壁に寄りかかっていた。片手をポケットに突っ込み、もう片方の手でスマホを持ち、俯き加減で何かを見ている。

知意は一瞥をくれただけで、無表情のまま視線を外した。腹の底で煮えくり返る怒りのぶつけ所を探していたところに彼が現れ、苛立ちはさらに燃え上がった。

隠そうともしない嫌悪を込めて、鋭く彼を睨みつける。

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