第17章

数日後。蓮の従弟の結婚式が、郊外の荘園風ホテルで執り行われた。

招待状はとうに知意の手元に届いていた。もともと出席する気はなく、足の怪我がまだ治っていないことを口実に断ろうとしていたのだが、先回りするように蓮から電話がかかってきた。

「必ず来い」

電話越しの声はいつもの命令口調で、有無を言わさぬ響きがあった。

「言い訳は聞かない。お前の業務引き継ぎの件、俺はまだサインしていないぞ」

最後の一言は、あからさまな脅しだった。

知意は悔しさに拳を握りしめた。

数秒の沈黙ののち、ひどく乾いた自分の声が響くのを聞いた。

「……わかったわ」

結婚式当日。知意は一人タクシーでホテルへ向か...

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