第25章

神谷家の本邸。

蓮は車をガレージに停めると、庭を抜け、迷うことなく母屋の書斎へと向かった。

源一郎は老眼鏡をかけて書類に目を通していたが、足音に気づいて顔を上げ、ドアを開けて入ってきた蓮に視線を向けた。

蓮は向かいの席に腰を下ろした。その顔に余分な感情は一切浮かんでいない。

「数日後、賀茂青山の古希の祝いがある。賀茂の本邸で身内だけの宴が開かれるそうだ」

源一郎は眼鏡を外し、ゆっくりと口を開いた。

「賀茂青山は政界の重鎮だ。今回の祝いには、お前が必ず直接足を運べ。祝いの品も入念に準備し、少しの粗相もないようにしろ」

蓮は「ああ」と短く応じ、淡々と言った。

「分かっている」

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