第29章

病院から戻ると、知意はそのままスタジオへ向かった。

ドアを押し開けると、意外なことに晩はすでに出社していた。自分のデスクに座り、真剣な眼差しでパソコンの画面を見つめている。

足音に気づいて顔を上げた彼女の口元には、ここ数日見たこともないような、晴れやかな笑みが浮かんでいた。

晩の顔色が目に見えて良くなっているのを確認し、知意もふっと胸をなでおろす。

「どうしたの? 今日はなんだか……調子良さそうじゃない?」

晩は知意の腕に抱きつき、弾むような声で言った。

「お昼、食堂へ行こ! そこで全部話すから!」

昼休み、スタジオの食堂は多くの社員でごった返していた。

知意と晩がトレイを持...

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