第49章

期待などとうに捨てていた。それでも、妊婦健診中の妻をあっさり置き去りにして別の女の元へ向かう姿を目の当たりにすると、徹底的に蔑ろにされたという感覚が、骨の髄までこびりついて離れない。

知意は自嘲気味に口角を上げ、きびすを返して残りの検査に向かった。

すべての検査を終えると、医師からは「出産予定日まであと半月ですね。しっかり準備をして、あまり感情を波立たせないように」と告げられた。

病院の正面玄関を出てタクシーを呼ぼうとした知意は、そこに蓮のお抱え運転手である佐藤が待機しているのに気づいた。

「奥様、ご自宅までお送りするよう旦那様より仰せつかっております」

佐藤は恭しく車のドアを開け...

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